家庭教師の授業構成方法まとめ【受験生編】

家庭教師の授業構成方法まとめ【受験生編】

はじめに

家庭教師のアルバイトをしていると、ときには“受験生”の指導を担当することもあります。
受験生の指導ともなるとより一層責任を感じますし、その生徒の志望校に合わせた授業が必要です。
実際に家庭教師をしている大学生の中にも、受験生の指導はちゃんとできるか不安があるという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、受験生を担当した場合にどういった授業を行えばよいのか教科ごとに詳しく解説していきます。
また、受験生向けの課題の出し方も紹介するので、指導方法に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

受験生向けの授業とは?

受験生を指導する際に最も重要なことは、実践的な問題に挑戦する機会を増やすことです。
家庭教師の授業中も、受験本番を意識して問題を解くスタイルを意識しましょう。
ただし生徒に解いてもらう問題は、志望校に合った問題でなくてはいけません。
具体的には、受験予定の学校の過去問同じくらいのレベルの過去問模試などです。
また特定の分野がよく出題されるなどの傾向がある場合は、その分野の問題を重点的に解いてもらうのも非常に効果的です。

実際の授業の進め方としては、「生徒に問題を解いてもらう」「解説」というパターンが基本になります。
問題を授業内で解いてもらうか、事前に解いておいてもらうかは、状況に合わせて選択しましょう。
というのも、この2つの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらの方が良いと明確に結論を出すのは難しいのです。
以下に、それぞれのメリット・デメリットをまとめたので、参考にしてください。

【事前に問題を解くスタイル】

メリット
・授業時間を有効活用できる。
・自習が苦手、もしくは自習の習慣が身についていない生徒でも対応できる。
・より多くの問題を解説できる。

デメリット
・解いている様子を観察できないので、本当に理解できているかの判断が難しい。
・学校などの課題もある場合は、生徒の負担が増えすぎる。

【授業中に解くスタイル】

メリット
・解く過程を観察できるため、アドバイスをしやすい。
・生徒の負担が少ない。
・問題を解いてすぐに解説できる。

デメリット
・解説できる問題数が限られる。

このように、2つの指導スタイルは一長一短です。
基本的には、生徒のモチベーションや学力が上がるまでは授業中に解いてもらい、受験が近づきレベルが上がるにつれて事前に解くスタイルに変更することをおすすめします。

受験生向けの科目別おすすめ指導方法

続いて、科目ごとに受験生への指導の際のコツを解説します。

皆さんが指導を担当する科目では、どういった点を意識すればよいのでしょうか。
それぞれ確認していきましょう。

①数学

まずは数学です。
受験生にとって鬼門となりやすい科目なので、それだけ指導の重要性も高い科目ですね。

数学の指導は、基本的に過去問などを解いて分からない部分を解説するというスタイルで行いましょう。
学校の授業のように基礎や公式などを丁寧に説明するのではなく、実践的な形で進めることが重要です。
間違えた部分や分からない部分を解説し、受験本番までに解ける問題を少しずつでも増やしていきましょう。

また分からない部分を解説するだけでなく、解答の書き方計算のテクニックなど本番の点数に直結するポイントをアドバイスすることも有効です。

解いてもらう問題としては過去問や模試の問題をおすすめします。
ただし明確な苦手分野がある場合は、その分野に絞って問題を探してあげるようにしましょう。

②英語

英語の指導では、長文読解の問題を用いることをおすすめします。

センター試験や国公立の二次試験、私立大学の試験などでは、どれも長文問題を解く力が重視されます。
高校受験の場合でも、私立高校では長文問題の比重が高い学校が少なくありません。

長文問題はスムーズに解くためにはある程度の慣れが必要です。
その“慣れ”を身につけるためには、時間と経験が求められます。
そのためにも、家庭教師の授業を通じて実践的な形で多くの問題を解くことが重要なのです。

また長文問題にアプローチする方法は、過去の受験で多くの問題を解いている家庭教師のアドバイスが効果を発揮します。
どうやって問題に向き合えば良いのかという方法論を伝えてあげるようにしましょう。

続いて長文以外の対策の方法について解説します。
文法問題リスニングなどは授業で教えるよりも、生徒の自習に任せる方が良いかもしれません。
もちろん授業で取り扱っても良いのですが、授業時間には限りがあります。
そのため生徒が自分で進められる部分は、生徒に任せることも重要です。
生徒が苦手意識や不安を感じている場合は、有効な参考書を紹介してあげましょう。

単語についても、ベースは生徒の自習に任せましょう。
ただし授業で解く長文で分からない単語や熟語が登場したときには、その意味を確認し復習してもらうように支持を出しましょう。

③国語

国語の指導においても、過去問や模試を利用した演習と解説を中心とした授業が有効です。

「評論」、「小説」、「古文」、「漢文」のうち、生徒の受験予定の学校で出第されるものの対策を行いましょう。
それぞれ、問題へのアプローチの方法解くときのコツは異なるものがあります。
指導の際は、自分の受験の経験などを照らし合わせながら問題への取り組み方をアドバイスできるよう心がけましょう。

例えば現代文では、答えの根拠となる箇所をどのように見つければ良いのか、筆者が何を主張したいのか見極める方法などを解説することが重要です。
また古文漢文では、単純に文法知識を教えるだけでなく、当時の社会の仕組み価値観を説明すると理解の助けになるはずです。
和歌を送り合う背景や宗教観などは知っているだけで、問題を解くときに参考になる場合もあります。

また生徒に自習を求める場合は、問題を解いた後は解答・解説を読み込むように指導しましょう。
単純に答えを確認して終わるのではなく、どうしてその解答に到達するのか、その道筋を確認することが成績アップに繋がります。
授業で解説するとき重視するポイントも、同じく解答に至るまでの過程です。

④理科・社会

生徒の志望する学校によっては、物理や化学といった理科系科目や世界史、日本史、地理といった社会系科目への対策が必要になる場合があります。
こうした科目の指導を依頼された場合は、まず志望校でどのような問題が出題されるのかを確認しましょう。
用語など細かい知識が問われるタイプの学校なら、それに応じて発展的な知識を身につけるサポートが必要です。
また計算や論述の割合が多いようなら、その形式に合わせた問題に繰り返し取り組むようにしなければなりません。

こうした問題は、過去に解いてきた経験が乏しい傾向があるので、過去問や模試を有効活用して”慣れ”てもらうことが重要です。

受験生向けの課題の出し方

先程解説したように、家庭教師の授業時間を有効活用して多くの問題に取り組んでもらうには、授業外で問題を解いてもらうように課題を出す必要があります。

実は、この課題の出し方はけっこう難しく、適切な形を取らなければ生徒の学習に悪影響を与えるケースすらあります。
生徒の学習にとってプラスとなる課題の出し方をするためには、次の3つのポイントに気を配りましょう。

①量

まずは、適切な量の課題を出すようにしましょう。
課題をたくさん出しすぎれば、生徒にとった必要なほかの勉強時間が削られることもあります。
また学校などが忙しい場合は、そもそも課題に取り組む時間を確保するのが困難ということもあります。
反対に課題が少なすぎても、自己管理が苦手な生徒は時間を持て余してしまいます。

生徒のスケジュールモチベーションなどを考慮して、次回の授業までに問題なくこなせる量を見極めるようにしましょう。
受験が迫っている生徒の場合は、生徒自信と相談して課題の量を管理してもらうことも有効です。

②難易度

課題を出す際は、問題の難易度にも気をつけなければいけません。
受験が近いからと焦って、生徒の力量を超えた難易度の問題を出してしまうと、生徒のモチベーションに悪い影響を与えます。
そして簡単すぎる問題では、解いてもらってもあまり意味がありません。

生徒が目指す学校のレベル現状の学力を考慮して、ちょうど良い難しさの問題を選んであげましょう。

③問題の形式

課題として解いてもらう問題は、授業中に解いてもらうと授業時間を圧迫してしまうようなものを選びましょう。
例えば、数学の難しい問題や英語の長文、国語の読解問題などがこれに当たります。
こうした問題を授業内で毎回解いてもらっていては、扱える問題数がかなり少なくなってしまします。

また、生徒が受ける学校の過去問を基に対策が必要な形式を出すようにしましょう。
受験する学校で出題されない形式に時間を浪費しないことが大切です。

受験生向けの模試の利用方法

受験生の指導を担当していると、模試をどれくらい受ければ良いのか質問されることがあります。
この際は、塾に通っていない生徒は模試を受ける回数が不足しがちなので、基本的には積極的に受けるようにアドバイスしましょう。
ただし生徒のスケジュールを圧迫して、自習の時間を取れなくなるような事態にならないようには気を配る必要があります。

模試を受けるように勧める際には、模試を受けるメリットもしっかり説明しなくてはいけません。
模試のメリットには、主に次のようなものがあります。

  • 現在の実力を知ることができる。
  • 自分の苦手や弱点を把握できる。
  • 成長を確かめることでモチベーションを向上させられる。
  • 受験本番のような緊張感で問題を解く予行練習になる。
  • 間違えた問題が今後の有用な教材になる。

このようなメリットがあることを解説し、学校や予備校が行う模試を調べて、必要な模試にはどんどんチャレンジするように伝えましょう。

まとめ

今回は、受験生を担当するときの指導のコツを解説しました。

受験生の指導には独特の難しさがあり、身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。
そういう場合は、ここで紹介したポイントを意識しながら指導に取り組んでみてください。

最後に、受験生を教えるときにおさえるべきポイントをまとめます。

  • 「問題を解く」「解説」という実践的な授業中心にする。
  • 過去問模試を教材にする。
  • 課題を出して、授業中の解説時間を確保することも重要。
  • 解説では、生徒が分からなかったところ解答に至る過程を説明する。
  • 課題の量や難易度は生徒と相談しながら調整する。
  • 模試を積極的に受けてもらう。